世界のデザイナーとコラボレーションを重ねる。

SOSEI by Ronan Bouroullec

多治見でタイルの製造に用いられる押出成形という技術を用いた、ベースのようなオブジェのシリーズ。円筒形の本体にオブジェを取り付けることで、幾何学的な形、釉薬の色の構成を作り上げます。日本らしい調和のとれた深い釉薬の色味は、日本の陶磁器の美しさへの賛辞です。

ロナン&エルワン・ブルレック。 フランスのデザイナー、ロナンとエルワン・ブルレックの兄弟は、ブルターニュのカンペールでそれ ぞれ 1971 年と 1976 年に生まれ、1999 年より協働している。インダストリアル・デザインから工芸 作品まで、大量生産品から研究活動、そしてオブジェから公共空間まで、彼らの創造活動は様々な表 現領域をカバーしながら、少しずつ我々の生活に浸透してきた。彼らのキャリアは国際的な企業や、ヨー ロッパから日本に至るあらゆる地域で代々受け継がれてきた技術を持つ職人たちとのコラボレーショ ンによっても特徴づけられる。様々な研究活動により世界の名立たる博物館との協働も実現している。

Working Tile by Max Lamb

多治見が持つ独自のタイル製造システムをベースに、Tajimi Custom Tilesが実現すべきものとは何だろうか。この問いを繰り返すなかで、マックス·ラムは、多様な形状をした3Dのタイルの製作にたどり着きました。立体的なタイルをパズルのように組み合わせることで生まれる、フラワーベースやローテーブル、ベンチ、パーティションといった、さまざまなバリエーションのアイテム。土の魅力を最大限に引き出すべく素材を選び抜き、同時に日本の伝統的なタイルに見られる静かで深い奥行きを持つ色味を現代に蘇らせるべく、特殊な釉薬を使用しています。また、そのボリュームのある立体的な形は、鋳込成形により実現しています。

マックス·ラム。1980年イギリス生まれ。田園地帯が広がるコーンウォールで、自然と戯れながら好奇心旺盛な少年時代を過ごしたマックス·ラム。ノーサン·ブリア大学で立体デザインを専攻後、ロンドンのロイヤル·カレッジ·オブ·アートに進学し、プロダクトデザインを学んでいます。2008年独立。デザイナーとして活躍する一方で、素材に対する確かな知識と、卓越した造形力とものづくりの技を生かし、自らの手で数々のプロダクトを作り上げています。ごく一般的なものと新素材を組み合わせたり、実験的な試みのなかから合理的な解決策を見出すなど、実直さと知的な感覚を併せ持っているのも、彼の特徴と言えるでしょう。Peter Walker Award for Innovation in Furniture Design(2003)、the Hettich International Design Award(2004)の受賞をきっかけに、Deadgood、Sight Unssenなどのメーカーと協業をスタート。Design Museum、Gallery FUMI(ともにロンドン)、The Johnson Trading Gallery(ニューヨーク)、the Wolfsonian Museum(マイアミ)、the Melbourne(オーストラリア)など、各地の美術館、ギャラリーで個展を開催しています。母校のロイヤル·カレッジ·オブ·アートで教鞭を執るかたわら、世界各国の企業とのコラボレーションを果たしています。

TIDE by Kwangho Lee

多治見特有の押出成形技術に着目したイ·カンホは、異なる長さの成形を可能にするループをかたどったモジュールをデザインすることにより、多様な機能を提案。モジュールは縦横の両方向に重ね合わせることができ、組み合わせ次第で壁やベンチなど、さまざまな展開が可能です。
モジュールを一列に並べると手で描いたようなループ模様が連続して見え、まるでニット生地にも似た豊かな表情が現れます。「ニット」はイ·カンホにとって創作の重要なテーマでもあり、異なる素材、スケールの作品をこれまでにも多く手がけています。本プロジェクトでは、初めは非常に柔らかく、製造の過程で次第に固さを増していく土の素性をデザインで表現したものです。

イ·カンホ。1981年韓国生まれ。金属工芸とデザインを学んだ後、ソウルにデザインスタジオを設立。身の回りにある素材から、さまざまな日用品をつくっていた農業家の祖父の影響を受け、幼少期から自らの手でものを作ることに熱中。この体験が、イ·カンホのクリエイティブな思想や作風の原点とも言えます。彼は、何気ない景色に潜むかすかな事象の発見、再検証、再解釈を繰り返すなかで、素材の特性や接合方法などを見極め、そこから新しい可能性を持つ日常のデザインを見出していきます。これまでにもスタイロフォーム、ポリ塩化ビニル、大理石、銅、ほうろう、鉄、陶土など、さまざまな素材で取り組んでいます。2009年Design Miami/Baselで審査員特別賞を受賞したことを皮切りに、2011年韓国政府文化部のArtist of the Year、2013年Yaol/韓国文化遺産協会のYoung Craftsman of the Yearを連続受賞。また、Commissaires(モントリオール)、Johnson Trading Gallery(ニューヨーク)、 Victor Hunt(ブリュッセル)、Karena Schuessler(ベルリン)、Clear Gallery & Edition(東京)、Gallery Seomi(ソウル)で個展を開催する一方で、Design Miami/BaselやDesign Days Dubaiなどのグループ展、国際展にも積極的に参加しています。イ·カンホの作品は、モントリオール美術館、サンフランシスコ近代美術館のパーマネントコレクション入りを果たしており、世界各国の多数のメディアにも取り上げられています。